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SPORTS SCIENCE LABとは
2017年5月15日
2017年5月10日(水)、表参道にSPORTS SCIENCE LABがオープンした。この施設はどういった経緯・思いで作られたのかを書いていきたい。
私は、2016年7月に独立し自身の競技活動と共にランニングに関する様々な活動やトレーニング方法・理論などを啓蒙している。自身のチーム「YAGI RUNNING TEAM」を発足し、市民ランナーの競技力向上のサポートも行っているが、チームでは心拍管理を始めとした科学的なデータや根拠のあるトレーニング方法を実践している。9月の 「YRT RUNNER’S FESTIVAL」は、元々はチーム会員の方の現状を知るために開催したレースであり、この結果をもとに適正心拍や適正タイムを算出し、トレーニングメニューの作成を行った。
近年、心拍計測つきのランニングウォッチなども普及し、ランナーのトレーニング方法は、より科学的になっても良いはずなのだが、機能をしっかりと理解しトレーニングに落とし込んでいる人は意外と少ない。その理由の一つとして、トレーニング理論や、トレーニング方法を啓蒙する存在がいなかったことが挙げられる。また、日頃のトレーニングを行う上でのデータ管理などはランニングウォッチでできるようになってきたが、個々の身体データや特性を正確に測定するというのは難しい。日本でもごく一部の専門機関でしか行うことが出来ない上に、受ける側もトップアスリートなどに限定されてくる。それ故に、トップアスリートは自身の身体データを測定しトレーニングを行うことが可能だが、一般の人はそういった機会がないため、そもそも身体データに基づいたトレーニングを行うという考えに触れることが出来ない。よって科学的なデータに基づいたトレーニング方法に行き着かないのは必然なのだ。これは仕方のないことである。
テーブルの上に様々な選択肢を並べられたら、それを選択するのは自分である。その選択は個々によって変わってくるし、結果も変わってくる。その結果があまり良くなかった場合は、別の選択をすれば良い。しかし、そもそもテーブルの上の選択肢がごくわずかに限定されていた場合、選択する側としてはその結果があまり良くなかったとしても、別の選択が出来ない。私はこれが一番の問題だと考えている。引き出しは多い方が良い。結果が良かった時に何故良かったのかを分析できるし、悪かった時には何故悪かったかを分析できる。重要なのは、その時の結果を正しく評価・分析し次に向けてどういった事に取り組んで行くか。これは自分で考えたりコーチと考えたり様々であるが、考える上で選択肢や引き出しがないと、行き詰まってしまう。これが一般の人だと尚更である。
前置きが長くなったが、私は競技レベルに関わらず皆が情報を得たり、身体データや特性を測定できる場があれば良いと考えている。そうすることにより、もっと競技としても盛り上がるし、トップアスリートと市民ランナーの垣根などもなくなると思っている。そういった思いは実業団に所属していた時から持っていたが、独立して自分の思いややりたい事を体現しようとより強く考えるようになった。
「都心に誰でも来れる最高の施設を作ろう」と。
三田・沼田と共にこれをプロジェクトとして立ち上げたのは、2016年8月だ。10ヶ月の時を経て表参道でオープンすることが出来た。こだわったのは、使用する機器だ。最高の機器を用意しなければ、わざわざ自分達でやる意味がない。その点においては、専門家や大学教授などから話を聞いたり、実際に見て使用したりと慎重に選定した。もちろん物件や内装一つ一つに関しても、こだわりを持った。主なサービスは「ランニングアビリティ測定」と「低酸素トレーニング」である。「ランニングアビリティ測定」は身体データを正確に測定することができ、持久系スポーツ(特にランニング)に必要な数値や身体データ・個々の特性などを正確に算出できる。また測定結果をもとに、今後どういったトレーニングを行なっていけば良いかなども分かるのは日本でもここしかないサービスだと自負している。「低酸素トレーニング」では、マスクを着用せずに個室で個々に合わせて標高や走速度・走行心拍などを決定する。よってランニングアビリティ測定を行い、身体データを出してからでないと低酸素トレーニングのサービスは原則提供していない。これは「何となくきつい」などの主観でのトレーニングにしないためだ。本来低酸素トレーニングというのは、個々の身体データや特性・順応性などによりトレーニング内容を決定するため、身体データは必要不可欠である。低酸素トレーニングルームの体積についても正確に設計した。SPORTS SCIENCE LABでは専門家監修のもと、「段階的低酸素トレーニングプログラム」を開発し提供している。
SPORTS SCIENCE LABには他にも「フォームチェック」や「パーソナルトレーニング」・「ランニングステーション」のサービスがあり、トレーニングスペースもあることから今後更にサービス内容を追加する予定だ。トップアスリートから初心者の人まで皆が最高のサービスを受けることができる施設になるよう、プロジェクトメンバー一同取り組んでいく。